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クリエイティブ・コネクションからの「お知らせ」や
ブランド・マーケティングに関する「見聞録」など、最新情報を掲載しています。ブランド・マーケティング見聞録
40年以上のキャリアを有する、クリエイティブ・コネクション
代表取締役の町田が、あれやこれやブランド・マーケティングについて語ります。
“ブランディング”という言葉ですが、日本の広告業界で盛んに言われはじめたのは、バブル景気が崩壊した90年代中頃からだったと記憶しています。私は80年代末から外資系の広告代理店に在籍しており、P&Gやフィリップモリス、トロピカーナなどを担当。すでに“ブランディング”について戦略から展開まで、嫌というほど叩き込まれていました。
当時、宣伝会議コピーライター養成講座でお世話になったD通のO氏から「ブランディングについて、ちょっと教えて欲しい」と電話があったり、営業や戦略部門で勤めていた同僚がD通、H堂などへ多く転職したり。
あの頃まで日本の広告はバブルの影響もあり華やかでしたが、ブランドとしての中長期的な戦略が見えませんでしたからね。ある意味、日本の広告業界のターニングポイントだった気がします。
そして現在、ついにネット広告の年間媒体費が、旧来ブランディングの主力メディアとされてきたテレビの媒体費を抜いてしまいしました。とはいえ、“ブランディング”の本質は変わりません。
最近ネットにアップされている“ブランディング”に関する記事を見たり、またクライアントの担当者と話していると、たまに「???」と感じることがあります。そこで私なりに“ブランディング”について少し整理してみますので、しばらくお付き合いください。
■あの日、ブランディングの大切さを改めて痛感する
もう10年ほど前になりますが、しとしとと雨の降る夜、私はビルのバリアフリー・スロープで滑って転倒。どうも左足首を骨折したようで、まったく動けません。運よく大学の後輩と一緒だったので、彼が119番に通報してくれました。その時の救急車内でのお話です。
足首周辺が2倍くらいに腫れ上がり「痛い!痛い!」と連発する私の症状を診て、救急隊員が搬送先の候補として、A・B・Cの3つの病院名を告げました。
まず『A病院』は大きな病院で転倒した場所からは近いのですが、最寄駅からも、私の自宅からも遠く、怖い妻の顔が脳裏に浮かび即却下。残るは『B病院』と『C病院』。自宅には『B病院』の方が圧倒的に近いのですが、私は『C病院』を選びました。
その理由はご近所の飲食店で常日頃から「B病院に入ると生きて出られませんよ」という噂を聞かされていたからです。まっ、骨折ではなかなか死にませんが…
話には続きがあります。私は『C病院』の前を何度か車で通り、古くて小さい病院なのを知っていたので不安になり、救急隊員に『C病院』の向かい側にある『D病院』に入れないのかと聞きました。
そこには入院したことがあり、綺麗で設備も充実していて、看護師さんもやさしかったのです。しかし、救急隊員からは「Ⅾ病院は満床なので無理です!」という、冷たい言葉が返ってきたのでした。残念!
実はこの話、私が痛い目にあっただけでなく、“ブランドの正体”と“ブランディングの重要性”をわかりやすく物語っているのです。
■ブランドは顧客との信頼関係の上に成り立っている
簡単に言えば、“ブランドの正体”は“顧客との信頼関係”であり、その関係を構築するために行われる施策全般が“ブランディング”です。そして、“ブランディング”の成否は、想定したターゲットにブランドとして知ってもらいたい“情報”と“経験”を如何に上手く伝えられるかに掛かっています。
前述した私の判断は、それぞれの病院が意図したかどうかには関わらず、ブランディングの効果によるものです。私は●A病院の立地、●B病院のクチコミ、●C病院の外観、●D病院の入院体験という、それまでに知り得た“情報”と“経験”によって、「どこの病院に入院すべきか?」の判断を下しています。
最終的に『C病院』で足首の複雑骨折と診断され、手術を受けて4週間入院する羽目になったのですが、おそらくどこの病院でも大差はなかったでしょう。
■「製品は工場でつくられ、ブランドは心の中でつくられる」
今回は病院を例に話しましたが、これは企業、店舗、商品、サービスなどでも同様です。例えば、引越する際、まずネットやクチコミ情報で評判や料金を調べ、相見積を取って会社を決めていますよね。
で、一度お願いして、料金だけでなく作業員の対応などが良かったら、知人に薦めたり、次の引越の時はその会社を優先的に選んでいませんか?
またOEM商品を考えてください。基本的に同じ仕様、同じ性能の商品でも、社名や商品名が変わるだけで、人気や売上が大きく変わる場合があると思います。
それは社名や商品名にブランドとして“+αの信頼感”が有るか無いかの差です。場合によっては“+αの満足感”と言い換えても良いかもしれません。
“ブランディング”について語られる時に、よく引用される一文が「製品は工場でつくられ、ブランドは心の中でつくられる」(ウォルター・ランドー )です。
これは「ブランドになるには、顧客の心の中に製品を超えた“+αの信頼感”を醸成し、“顧客との信頼関係”を構築しなければならない。」ということだと、私は理解しています。
■ネット社会におけるブランディングのチャンスと課題
いまや誰もがSNSなどで情報を容易に発信したり、受けたりできるようになりました。これはブランディングを展開する上で、ある意味チャンスかもしれませんが、一方で多くの課題があるように思います。今後、その“チャンス”と“課題”についても、追々このブログにアップしていく予定です。
最初に述べたように、“ブランディング”の本質は何も変わっていません。小手先のネット技術や手法に走る前に、まず戦略の策定が何よりも大切だと40年経験してきた者として強く言いたいですね。はい。
以上、クリエイティブ・コネクション ブランド・マーケティングコンサルタントの町田芳之でした。
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